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寄稿文 カナダ - 日本

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「転び」体験記
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    ヒキガエルの如く

     もう二ヶ月近く前になるが、私は自宅近くにあるショッピングモールのコンクリートの歩道で、“バターン!”とばかりに前のめりに転んだ。

     

     子供の頃は別として、自分の記憶にある限り、成人以後にこんなひどい転び方をしたのは初めてある。

     

     結論から先に言えば「不幸中の幸い」と言う他はなかったのだが、左頬、左肘、左大腿骨をしたたか打ったものの大事には至らなかった。「暗くて見えなかった」などの言い訳は全く通用しない真っ昼間の出来事だった。

     

     あえて言えば「かさばる食料品の入った買物袋を両手に下げていたから」注意が散漫だったとは言えるかも知れない。

     

     しかし左肘と左大腿骨には青あざが出来たものの、実に不思議なことに、左頬は押せば「痛い!」と感じる位でそれらしき形跡は残らなかった。

     

     鈍痛は2週間ほど続いたが、転んだ時のことを思い返すたびに、まるで車にひかれたヒキガエルのような無様な恰好だったに違いないと自嘲した。

     

     

    では事故はどの様に起こったかと言えば、歩道のコンクリートブロックとブロックの間の段差に気付かずつまずいたのだ。

     

    気を付けて見ると街中にはこのギャップのある歩道が山のようにある。

    だが中には写真のように、ペンキで「G=ギャップ」と書いてあるところも見かける

     

     

     だが嬉しいことに、事故の直後に二台の車が停まり「Are you alright?」と手を差し伸べてくれた人たちがいた事だ。恥ずかしいやら痛いやらで、口が十分に廻らないもどかしさを感じながらも丁寧にお礼を言った。

     

     興味深いのは一台の車は男性だったが、すぐさま「ここで転んだのを見たのは貴女が二人目だ。今後のためにもこれは市をsue(告訴)すべきだ」と言う。「Sue、まさか?!」と思ったがただ苦笑いして頷いた。

     

     またもう一台は白人のご夫婦で、夫人の方が「I am a doctor」と言い、手、脚、頸、口を素早く触診し、「動かしてご覧なさい」とあれこれ指示してくれた。

     

     そして「家は何処?」と聞いてくれ、幸い5分もかからない所だったため、「送ってあげるから車に乗って」と言ってくれたのだ。

     

    日本人の妻

     別れ際に「貴女は日本の方?」と聞かれたので「Yes」と言ったところ「私の息子の妻は日本人で、彼は東京のT大に留学していたので日本語が出来るけど・・・」と言いながら「でも私はサヨナラ位しか言えない」とニッコリ。

     

     私はその奇遇に驚きながらも、この方たちもまた日本人妻を持つ息子がいる夫婦なのか・・・、とよく耳にする組み合わせに感慨を覚えた。

     

     当地に来て驚くことの一つは、この夫婦のように「私の息子の妻は日本女性」というのを始め、「私の兄/弟の妻は・・・」「私の従兄の妻は・・・」「私の叔父さんの妻は・・・」「僕の親友の妻は・・・」と言う人の多さである。

     

     きちんと調査をした訳ではないので、全くの私見であることを断っておくが外国語青年招致事業(通称ジェット・プログラム)が1987年(カナダの参加は88年)に始まって以来、白人男性が日本に行くと、数年後の帰国時には日本人の妻を伴ってのケースが急増したと聞く。

     

     また当地の英語学校で教える男性教師が独身の場合も、同じ事象が見られるとも。

     

     とは言え、その逆である外国人女性と日本人男性の組み合わせは、驚くほど少ないのも興味深い。

     

     私が来加した40数年前には絶対に見聞きしなかった社会現象であるため、その推移に時代の流れを感じる。

     

    告訴社会

     転び体験をした後に私は昔読んだ文芸誌に、当時名の知れた作家が書いた一文を思い出した。

     

     それは彼が初めての外国旅行でハワイに行った時の体験記だったのだが、ある夕方友人と某レストランで待ち合わせをしていたため出かけた。タクシーを降りた途端に、入口に少々溜まっていた水で足を滑らせてまったのだ。

     

     

     大事にはならなかったので本人はいささか照れながら起き上がったところ、レストランの中から慌てふためいてオーナーが飛び出してきた。「大丈夫か?怪我はないか?立つことが出来るか?救急車を呼ぼうか?」とそれは大変な心配のしよう。

     

     「何とハワイの人は親切なのだろう!」と驚き友人に話したところ「違いますよ。ここはハワイと言えどもアメリカで、この国は何かと言うとすぐにSueするから、先手を打っているのですよ」と言われ「まことに驚いた」と言うのである。

     

     さて私はと言えば、sueするなどの時間と手間は考えるだけでも面倒だったが、少なくとも地域のCity Councillorに「コンクリートブロックのギャップを何とかしてくれないか」とのメールを送ろうと思っていた。

     

     それには証拠の写真が必要と思い同じ場所に足を運んだのだが、どうだろう!その一帯は今大掛かりな下水と道路工事をしていて(転んだのはそれが原因ではない)、私がこけた歩道のコンクリートブロックは、2,3日の内にすっかり新しい物と入れ替わっていたのだ。

     

     「ああ、これで犠牲者が再度出ないな・・・」と思い、何やらホッとして胸を撫でおろしたのは言うまでもない。

     

     

     

     

     

     

     

     

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