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寄稿文 カナダ - 日本

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カナダ国内移住体験記(6)
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    まずベッドのマットレスを買う

    バンクーバーアイランドに到着した2014年5月23日の
    お天気が、カラッとした快晴だったのは長旅の後では
    こよなく嬉しいことでした。


    移住記 6
    どこを見ても海と花が一杯のバンクバー・アイランド
     
    さて、ここから目指すのは、借家として契約していた
    ビクトリア市郊外の家なのですが、この時点でもまだ
    引っ越し屋からの連絡はなく、いまトロントからの荷物が
    どこに置かれていて、いつ配達されるのか詳細は定かでは
    ありませんでした。


    以前にも記したように、一台のトラックが我が家の荷物
    だけを運んで来るわけではないため、ビクトリアに確実に
    到着する日付は本当に曖昧(あいまい)でした。

    旅の途中、何度もトロントのオフィスに電話やメールで
    連絡を入れ状況の把握に努めましたが、「大体何日くらい
    です・・・」といった曖昧模糊(あいまいもこ)とした
    返事が返ってくるばかりでした。


     
    運送屋の評判はインターネット上でも決して悪いものでは
    ありませんでしたし、
    契約に来た時の様子で信用をしたの
    です。
    でもこのテクノロジーの時代にもっときちんと追跡し確実
    な対応が出来ないものかと、日がたつにつれて心底驚くと
    同時に腹が立つことしきりでした。


     
    となると、借家に到着してもベッドすらないわけで、即、
    その夜からの寝具の確保をしなければなりません。

    そこでネットで調べてまず立ち寄ったのがマットレス専
    門店でした。急きょ2つ購入し、事情を説明して夕方まで
    には配達してもらう手はずを整え、加えて近くのショッピ
    ングモールでシーツなどの生活必要品を買い求めました。


     
    後から引っ越し荷物が届けば、すべて持っている品々です
    から、高価なものを買う気はなかったものの、あれこれと
    買い物をすればすぐに千ドル単位の額になります。

    引っ越しには雑費の支出が付きものであるのは
    十分承知な
    がら、何だか割り切れない思いはぬぐえませんでした。
    (後に、この時買ったものはすべて人にあげるか、教会を
    通して寄付しました)


    移住記 6
    ガランとして何もない借家

    そうこうして生活を始めたものの、家具のない住居という
    のは何ともわびしいものです。話す声が壁や天井に反響
    しますし、身の回りの必要品がほとんど何もないことで、
    すべてに我慢を強いられるのは何ともやりきれないもの
    です。

     

    19 日掛かった引っ越し荷物の到着

    まるでキャンプにでも行ったような生活が、結局、10
    続き、その間に夫は長旅の疲れともろもろのストレスが
    重なり、帯状疱疹(
    Shingles)を発病してしまいました。

    不幸中の幸いは、
    Walk in Clinic に駆け込んだのが早かっ
    たため抗生物質を飲み続け2週間ほどで完治したのです
    が、その痛さとかゆみは体験した者でないと分からない
    とのことでした。


     
    さて、この借家について書けば、トロントから大家さん
    と何度も電話やメールでのコンタクトをしたものの、
    インターネットの写真で状況判断することの難しさを
    嫌というほど知らされた代物(しろもの)でした。


    ビクトリアの5月末はすでに乾期に入っており、カラカラ
    に乾いて花一つない手入れの不行き届きの前庭。

    さし当たって必要でない荷物を収める車庫は蜘蛛(くも)
    の巣だらけ。
    その車庫の上に大家さんが自分で増築し
    たオフィス用の一部屋は、タールのみで固めた屋根の
    ため、夏には
    40℃にもなりコンピューターが
    ストップ・・・。
    どこもかしこも素人が安く仕上げた不手際なリノベー
    ションが目立ちました。


    もちろんどこに住んでも100%満足出来る家などない
    ことは先刻承知で、一つひとつ不満を言っては切りが
    ありません。

    そうは思いながらも「それにしてもこんな状態でよく
    人に貸せるな〜!?」と感じることが多く、落ち込み
    を通り越して夫と二人で笑ってしまうことが多々あり
    ました。


     でも、大家さんは飛び切り人のいい親切なシニア夫婦
    のため、いちいち文句をいうのがはばかられ、夫は常
    に釘、トンカチ、ねじ回しなどを傍らに置き、家中の
    不具合を直して回りました。



    移住記 6
    やっと到着したトレーラー。我が家の引越し荷物は4分の1ほど

    私たちが到着後10日目、トロントで荷物を出荷してから
    19日目に、どこをどうやって回って来たのか定かではな
    いものの、埃(ほこり)だらけになった引っ越し荷物が
    やっと到着。

    さし当たっての必需品の荷解きをし、一応住めるように
    するまでには1カ月半の歳月を要しました。でも結果的
    にはここに4カ月住むことになったのです。

     

    ビクトリア郊外で生活開始

    以前にも書いたように、私は郊外での暮らしというのに
    どうやってもなじめないのです。
    つまり、メジャーな交通機関の沿線ではなく、また歩ける
    範囲内にミルクを買える店がない場所は、どんなに素敵な
    自然に囲まれていても日々の生活を送るのにとても苦痛
    を感じます。

     

    この借家がまさにそうした郊外にあり、車なら10分ほど
    の所に大きなショッピングモールがあり何でも揃うもの
    の、ひとたび歩けば
    20分は掛かるいわゆるベッドタウン
    だったのです。



    移住記 6
    バルコニーからは近隣の湖が見え隠れする自然一杯の環境

    戸建ての家は欲しいけれど、ビクトリアの街中やその近郊
    の家はとても手が出ない・・・という子供が1、2人いる
    中年のカップル向きのコミュニティーで、ダウンタウン
    からは車で
    45分は掛かります。
     
    キッチンの窓からふと外を見れば、鹿が花のつぼみを黙々
    と食べているのが見えたり、ちょっと散歩に出れば、
    そこここに湖が点在し、鈴なりの野生のブラックベリー
    などが群生しており、子育てにはまたとない絶好の場所
    でした。


    移住記 6
    花の蕾を食い荒らす鹿。
    トロントのラクーンのように一見はこよなく可愛い住民の大敵


    しかし右も左も分からずにトロントから移り住んだ者に
    は、昼間はまるで人気がなくなってしまう環境に、日が
    たつにつれ、あたかも世界から一人取り残されたような
    寂しさがつのりました。

    陽は燦々(さんさん)と射し快適な季節でしたが、時に
    寂寥感(せきりょうかん)が頂点に達し「
    The world has
    forgotten me !」と私は泣き叫ぶこともあり、夫は危機感
    さえ感じたようです。


    移住記 6
    クーガーの出現がニュースになったりする近くの湖

    もちろんまだ育ち盛りの学齢期の子供がいて、好むと好
    まざるにかかわらず、移り住んだコミュニティーと関わ
    る生活を始めるような場合は別として、シニアになって
    の移住先には、やはり交通の便がよく、各種のアクティ
    ビティーへのアクセスが簡単な場所を選ぶのが賢明と言
    えましょう。


     
    もちろんまだ育ち盛りの学齢期の子供がいて、好むと好
    まざるにかかわらず、移り住んだコミュニティーと関わ
    る生活を始めるような場合は別として、シニアになって
    の移住先には、やはり交通の便がよく、各種のアクティ
    ビティーへのアクセスが簡単な場所を選ぶのが賢明と言
    えましょう。

     

    郊外から州都ビクトリアへまたまた引っ越し

    私の余りの落ち込みように、夫は1年くらいは住んでも
    いいかと思っていた郊外での生活を切り上げるべく、紹介
    された不動産屋のエージェントと共に夏ごろから真剣に家
    探しを開始しました。

     
    そう、2223は見て回ったでしょうか。最後には私が
    いつも口にする「帯に短しタスキに長し」の諺(ことわざ)
    を、カナダ人のエージェントが舌をかみかみ言えるように
    なってしまったほどでした。


    しかし必ず購入するお客を手放すはずもなく、連日辛抱強
    く次々に連れ歩いてくれました。そして9月になってやっと
    ビクトリアの南端の海沿いのコンドミニアムが見付かり、
    購入することにしたのです。

     
    思えば去年の春に下見に来た後、再度のダウンサイジング
    をして、引っ越しのために動き出してから1年半の歳月が
    流れており、心身ともに落ち着かない長い日々でした。

    でも、またもう一度、これが「終の棲家」(ついのすみか)
    になることを願いつつ、パックしては開け、開けてはパック
    した荷物をまたまたパックして引っ越しの準備をしたのです。

     
    この「引っ越し」という作業は何よりも体力が勝負である
    ことは、経験者にはよくわかることでしょう。私もこの最後
    の引っ越しが終わった頃には手が硬直し、握ることも出来
    ないほど疲れました


    移住記 6
    今回は自分たちで小物を何回も何回も運んだため、こんなサイズのトラックで間
    に合いました。トロントからの引越しとは大変な違いです


    しかし、それだけではなく、移転したことを政府関係機
    関に通知したり、銀行、クレジットカード会社、通信機
    器会社、友人関係などなどに知らせ、次には新たな場所
    での生活を開始するために、関連業者とのやり取りをす
    るという面倒で細かい手続きが必要なのです。

     

    友を想う

    こんな手順を踏みながら、私の頭にはいつも ある友人
    への想いがよぎっていました。


    もう10余年前になりますが、彼女は夫の仕事の関係で
    トロントから当地に移住しました。彼らはその後、
    4年の間に4度の引っ越しをして、そのたびにリノベー
    ションを行い、落ち着く間もなくその家を売り、また次
    に移る・・・という生活を繰り返したのです。

    そして4軒目に引っ越した直後に、彼女は自らの命を
    絶ちました。

     
    この地に来て、その友人の冥福を祈りながら、その足跡
    を一つひとつ訪ね歩いてみると、私などよりずっと若い
    年齢ではあったものの、当時の彼女も感じたであろう
    疲労困憊(こんぱい)ぶりが容易に想像出来ました。

    加えて、女性として体調を崩す時期でもあったようで、
    医者からアドバイスされた
    薬も飲んでいたとか。

    それが原因だったと推測する人もいますが、もちろん今もって
    「真実」は誰にも分かりません。



                       ...続く
                           




     
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