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寄稿文 カナダ - 日本

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カナダ国内移住体験記(最終回)
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    Newcomers の人々

    私がトロントを発つ時、友人たちから贈られた餞
    (はなむけ)の言葉は「あなたならすぐに友達を作
    ってまた活動を始めるわよ」というものでした。

    「人と関わるのが好き」という私の資質を見抜いて
    の言葉はうれしいもので、そうあってくれることを
    私自身も期待していました。

     
    当地に来て1カ月にもならない時に、紹介されたのは
    Victoria Women’s Newcomers ClubVWNC
    というグループでした。当時はまだ郊外の生活をして
    おり、
    心身ともに落ち着かない時でしたが、人に出会う
    のにいい機会と思いクラブ主催のランチに出かけたの
    です。


    移住記7
    白人女性がほとんどのVWNCのランチョン・パーティー

    手入れの行き届いた初夏の日差しが燦々(さんさん)と
    降り注ぐゴルフ場のクラブハウスが会場で、大いに息抜
    きになりました。

    しかし予想通りメンバーの
    99%は白人のシニア女性で
    した。

    トロント辺りで「Newcomers」と言えば、大方の場合、
    外国からの移住者を指しますが、ここではカナダ国内の
    他の町、オタワ、トロント、ウィニペグ、カルガリー
    等々の寒冷地から移り住んだ新参者という意味になる
    のです。



    クラブには各種の小グループが組織されており、読書会、
    ランチ会、手芸クラブ、映画鑑賞会、
    Butchart Gardens
    (ビクトリア市郊外にある世界的に有名な花の公園)を
    歩く会、ワインを楽しむ会・・・等々
    硬軟取り混ぜた
    活動が行われており、定期的に集まっています。


    私もその幾つかに登録し、クラブの人たちとの交流を始
    めました。



    移住記7
    海辺を歩く常連さんたち。多少の雨風はものともせず1時間ほど歩き、
    後は近くのコーヒーショップでおしゃべり

    移住記7
    こんなに個別のクラブがあり、月一回の定期会合のたびに勧誘が行なわれる

     

    挨拶は「どこから?」が決まり文句

    カナダ生まれのカナダ人でも、また、元は外国からの移
    住者でも、この地が新たな生活圏という点ではお互いに
    同じ立場のため、まず「どこから来たの?」というのが
    挨拶の始まりです。

    40年ほど前、トロントに移住した当時のことを何やら
    彷彿(ほうふつ)とさせられる質問です。


     
    英語か仏語を母語とするカナダ人でも、年齢を重ねた後
    での友だち作りはそう簡単ではなく、こうしたクラブで
    の付き合いを通しての情報交換、仲間作りが役に立つ
    ようです。

    でも考えてみれば、元来のカナダ人にとっては、せい
    ぜい東京から福岡に引っ越したようなもの。新開地
    とは言っても程度が知れており、外国からの移住者が
    一度根を下ろした地から、シニアになって新たな場所
    に移住するのとは全く違います。


    時々、日本人移住者の間で、西海岸に移り住んだも
    のの、しばらくして元の町に戻ったという話を耳にし
    ますが、この「カナダ社会との積極的なかかわり合
    い」辺りが、中にはネックになる人もいるのではと
    思われます。


    さて出身地の紹介の後は、その人のバックグランド
    も知らなければなりません。結婚か離婚か再婚か独
    り者か、子供や孫の有無やその数、現役時代の仕事、
    また話の内容如何では外国に住む家族やその人々
    との関係などを、簡単ではあっても語らなければ次
    の話しに発展して行かない時もあるのです。


    加えてややこしいのは、カナダ人は(日本人より)
    気軽に再婚、再再婚などを繰り返す人がいるため、
    その度に変わるお連れ合いの名前、生まれた子供
    たち、結婚で繋がった相手方の子供たちの名前、
    その配偶者、そして大概は
    670代ですから孫が
    何人かいることも多く、その関係者のことを話さ
    れるともうお手上げです!


    「どっちのPaul?、Mike?、Peter?のことを言っ
    ているの?」となるわけで、こちらの頭の中は
    ゴッチャゴチャ!


    すでに長い間知っている友人関係では、そんなパズル
    の埋め合わせをする必要ないわけで、「新たな場所
    に移住し、新たな友人関係を構築するというのは
    こういうことなのだ」とその度に思うのです。

     

    日系人、国際結婚の人々

    でも日系人、日本人移住者の中だけに留まる友人
    関係であれば、広がりも少ないわけです。とは言え、
    長くここに住んでいる方たちからのインフォメー
    ションはとても貴重ですし、彼らが行う各種行事
    もまた興味深いものです。


    移住記7
    原爆記念日の行事。高齢の演奏者の吹くフルートの音色が夕闇の中に響き渡る

    移住記7
    湖畔での行事のため精霊流しも行なわれ、燃え尽きたものは最後にボートから拾い上げる

    移住記7
    お盆には日系人が中心になって先祖の墓を清掃

    移住記7
    墓地清掃の後は、バンクーバーからの僧侶が慰霊祭を執り行う

    更にもう一つ興味深いのは、統計的には分かりませんが、
    日本人と国際結婚をしている家族を持つ人が多いことで
    す。

    私が日本人だと知るやいなや「息子の妻(または婚約者)
    は日本女性」(この組み合わせが一番多い)とか、
    「兄弟の〜」「従兄弟(いとこ)の〜」「友人の〜」と
    いった具合に話が発展し、カナダ社会の中に(特に)
    日本女性と結婚したカップルが相当数いることがわかり
    ます。

     
    彼らは今どきの世相を反映し、インターネットによって
    つながり、情報網を張っています。

    http://bbs.ablogg.jp/%E3%82%AB%E3%83%8
    A%E3%83%80/%E3%83%93%E3%82%AF%E
    3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2/guide

     
    30余年前、日本人向けのインフォメーションがほとん
    どないトロントで子育てをしていた時期に、時間をやり
    繰りし、時にはミルクのビンを抱えながら国際結婚組の
    仲間が集まり、「フレンチイマージョンって何?」
    「どこに行けばラーメンが買える?」から始まって、
    はたまた「カナダの日系人史を勉強しよう」と一生懸命
    に活動していた頃が、はるか蜃気楼(しんきろう)の
    かなたにぼんやりと消えていく気がします。

     
    では、こんな時代なら、今の日本に関心のあるカナダ人
    が多数かといえば、いいえ、いいえ、とんでもない、
    ここはやはり“ブリティッシュ”・コロンビアなのです。

    カナダの東部地域に比べ、東洋は地理的には近いものの、
    多くの住民のメンタリティーは欧州(特に英国)が基準
    になっていることを思い知ります。

     
    特に年配の人は、お寿司は食べるものの、こうした傾向
    が強く、彼らの会話に耳を傾けると、「英国のどこそ
    こが〜」「去年行ったロンドン郊外の〜」といった会話
    がとても多いのです。


    トロントのような Multicultural の町から来た私には、
    当初、そのギャップになじむのにかなりの時間と努力
    を必要としました。

    特に郊外では東洋人、中近東人、黒人などに出会う機
    会はそう多くありません。

     

    清潔でフレンドリーな街・ビクトリア

    今年の夏発表されたCNトラベラー誌の調査で、ビクト
    リアは北半球で最もフレンドリーで清潔な町にノミネー
    トされました。


    ここではバスを後方から降りる時、ティーンの子供で
    さえ運転手に大声で「
    Thank you!」を言い、ガーデン
    シティーの名に恥じない花いっぱいの町で、ダラー
    ショップ(100円ストア)でさえ商品棚が清潔で整然
    としていることに驚きます。
    (トロントの同種の店は煩雑で汚なかったのが今でも
    思い出されます)


    移住記7
    11月になっても市内の花壇には新たな花が植えられる

    また、ダウンタウンがコンパクトにまとまっていて行動
    しやす
    く、日常生活に車は必要ありません。バスも経路
    と時刻表の使い方に慣れると、実に便利に出来ているの
    がわかります。

    ですから「
    老後の数年間をここで」と思うのは理解出来
    るのですが、最初の予定以上に
    20年余りも生き延びると
    いう人も少なくないとかで、よく聞かされるジョークに
    なっています。

     
    でも実際には、シニアの人口は18.4%(2011年国勢調
    査)で思ったほどではありませんが、移住後は前述の
    ように、出来るだけ早く積極的に交流の場に出て、知り
    合いを作ることはとても大切なことと思われます。

    それを怠ると、将来「コクーン(みの虫)症候群(殻に
    閉じこもってその中でのみ生活)に陥るので注意!」
    とはたびたび耳にすることです。

    もちろんこれは齢(よわい)を重ねればどこに住んでも
    同じことが言えるでしょう。

     

    ヘルスオタクと異常なまでの肥満体の対照

    ビクトリアの平均気温は、12月の今ごろは昼間710℃、
    夜5〜6℃ですが、
    1128日には、
    2日ほどで解けた
    ものの、
    うっすらと初雪も降りました。

    またよく人の口にのぼる雨量もバンクーバーに比べる
    と半分以下と言う人もいて、そのために海峡を渡って
    こちらにシニア移住する人もいます。

     
    健康志向の人が極めて多く、自然栽培の有機野菜、
    混合物のない石けん、ジャム、蜂蜜など、夏の週末には
    あちらこちらで個人が持ち寄る青空市場が開かれます。
    ちょっと値は張るものの、その種のものが簡単に手に
    入ります。


    移住記7
    青空市場。日本人移住者の出店も見られる




    しかしそれと対照的で驚くのは、とてつもない肥満の人
    も多いことです。

    北米社会では今どき珍しいことではないものの、特に
    郊外にある
    CostcoWalmart といった量産販売の店に
    行くと際立って肥満体の人がいることが分かります。


    移住記7
    肥満体の人の姿が目立つ(Walmartにて)
     
    ものすごい健康志向の人が多数いる一方、異常なまでに
    太っている人もいる。このアンバランスな社会現象は一
    体何なのか、私はいつも不思議に思うのです

     

    島の生活

    日々の生活面から見ると、食料品などの価格はトロント
    に比べ約2割がた高いと感じます。
    この夏、トロントなら韓国の店で4束$
    1.00だった青葱
    が、当地で一束
    76セントだったのを見たときには度肝を
    抜かれました。
    また柑橘(かんきつ)類なども「カリフォルニアが近い
    のに、なぜ?」と思うほど高値です。

     
    それは政府の農業への統制のあり方に問題があり、ここ
    の農家がもうからない仕組みになっているため土地の物
    が流通しないからだとか。

    結果として、すべての物が本土から入って来ることにな
    り高値になるというのです。(でも不思議なのは、バン
    クーバーから来た人は島の方が食料品は安いと言います)


    「家の値段はどうですか?」というのも良く聞かれる
    質問ですが、もちろん場所によって異なるものの、
    トロントと比較すれば(今のところ)これは確実に安い
    と言えます。

     
    移住記7
    マラソン大会などヘルス向上のためのイベントの多いこと!


    愛犬を伴って、立ち漕ぎカヤックで沖から戻った女性

    さて最後に文化面について書きましょう。


    トロントを離れる時によく言われたのは、ここには文化
    的に刺激を受けられる催し物が少ないということでした。
    もちろんカナダ最大の都市トロントとは比較することは
    出来ません。


    でもトロントにいる人すべてがそれをエンジョイして
    いるかと言えば、怪しいもので、ダウンタウンに住ん
    でいない限り、オペラもバレエも音楽会も講演会も
    関係ないという人はたくさんいます。


    ビクトリアの夏場は、ありとあらゆる所で何らかの催し
    物が行われており、会場へのアクセスが簡単なため非常
    に出かけやすいという利点があります。

    「一流どころが来るか?」ですか? まあ、トロント
    との比較はやめとしましょう。

     

    お礼

    さて今回で、8月から7回にわたって書いた私の「国内
    移住体験記」の連載を終わります。


    この間に多くの知り合いや、また見ず知らずの方たち
    からもメールを頂きました。「良く頑張ったわね!」と
    いう励まし、「日本では
    5200キロの国内移動なんて想
    像外!」という驚き、加えて、カナダ国内で同じような
    体験をなさった方からのメールもあり、そのつど読んで
    下さっている読者がいることで書く励みになりました。

     
    人の一生は、人それぞれがどこでどのような選択をする
    かによってその後の人生が大きく変わるものです。
    ラッキーにも、常に正しい道を選んで生き抜く人もいる
    かもしれません。

    でも普通は、後悔、反省、惑いなどを繰り返しながら、
    それでもどこかに光明を見つけ「人生捨てたものじゃ
    ない!」と自分を励まし前に進んで行くのではないで
    しょうか。

     
    私も大いなる試行錯誤の末、当地に移住して半年が
    たち、初めての街でクリスマス・お正月を迎えます。

    今後は健康に留意しながら、新たな土地で新たな人生
    を切り開いて行きたいと思っています。


    読者として根気良くお付き合い頂きありがとうござい
    ました。
    またネット上でお会いできるチャンスがあります
    ことを!


                   終わり
              (2014年12月18日掲載) 











     
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