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寄稿文 カナダ - 日本

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ヴィクトリア見聞録(Vol.2)
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    見聞録

    ヴィクトリアの海辺から 
           Vol. 2 (2015年2月27日号)


    「安楽死」(Assisted Suicide)



     一ヶ月余り前の3月7日、メディアのトップの話題
    「安楽死」に関するニュースだった。

    カナダの最高裁が、各種条件が揃えば、長患いの病人自
    身の意思によって、医師の立会いの下「自殺」が正当化
    されるよう法改正を行うことを承認したからだ。

    もちろん賛否両論はあるが、一年後各方面の法が改正
    された後に施行される予定だ。

    多くの人にとって深い感慨と共に受け取られたに違いな
    いニュースだったが、私もまさにその一人であった。

    生きとし生けるもの、いつかは「死」に直面することは
    誰もが知っている。しか日常生活の中では「おぞまし
    いこと」として口にするのはばかれる話題である。


    この問題を白日の下にさらし、カナダの世論を沸き立た
    せたのは、
    22年前に不治の病Amyotrophic Lateral
    Sclerosis (通称ALT・筋萎縮性側索硬化症)に掛かっ
    ていたビクトリア島・
    Saanichi市在住のSue Rodriguez
    43)という白人女性であった。

    ちなみに先日のアカデミー賞で主演男優賞を獲得した
    The Theory  of  Everything(邦題:博士と彼女の
    セオリー)は、同病を患う「車椅子の天才」と言わ
    れるステーヴン・ホーキンス博士の実話である。


    この病は、意識は正常ながら運動系が侵されるため、
    肉体的な自由がどんどん蝕まれるのだ。彼女はその苦し
    みを訴え続け、安楽死の法制化を求め最高裁まで持ち
    込み争った。


    結果は敗訴であったものの、医療関係者の立会いのもと
    自分の意志で死を選ぶという問題は、その後何回となく
    カナダ社会に浮上しては消えた過去がある。

    私は丁度フリーランスの物書きとして走り出した頃で、
    以後、非常に興味深くこのニュースを追って来た。


    Rodriguezさんは5ヶ月後に医者の立会いのもと大量の
    バルビツーレイト
    (睡眠薬)を投与され自死した。
    カナダの法律によれば、自殺幇助(ほうじょ)は
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    の刑に処されるはずだが、いまだにその医者が誰であっ
    たかは不明である。

    入念な計画を持って事に当たったのは疑う余地はない。
    だがその場にいたのは医者だけではなかったにも関わら
    ず、誰もが口を割らないことに私は再度驚いた。


    その立会人の一人が、当時BC州出身の進歩保守党議員
    だった
    Svend Robinson氏で、私はトロント在住であった
    が彼にも長い間注目していた。

    今でこそ同性婚が法制化されているカナダだが、
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    以上も前には「ゲイの権利」などまだ笑い種であった
    時代に、彼は
    openly gay(性的指向や性自認を隠匿し
    ない生き方)として堂々と政界に脚を踏み入れ、揶揄や
    嘲笑の中で孤軍奮闘していたのだ。


    ところがある日、宝石店でパートナーへのプレゼントに
    指輪を買う際、信じがたいことだが、出来心で盗みを働き
    現行犯で捕らえられた。

    犯罪心理学からいうと、大きなプレッシャーなどがある
    場合こうした行動に出ることがままあると言われている。

    以後公的な立場を退いたが、今回安楽死が話題に上った
    ことで、再度メディアにその名前を見ることが出来た。
    今はスイスのジュネーブでエイズ、結核、マラリアなど
    の撲滅と戦うグローバル基金で働いているという。


    いつの時代も、当初一般の人には振り向きもされない
    事象が世論を動かすようになる迄には、長い道のりを歩
    まなければならないものである。







     
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