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寄稿文 カナダ - 日本

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「落書き」という破壊行為
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    ヒラリー氏

     

     人はある事象に何度も触れて慣れてしまうと、以前には嫌悪を感じていた事柄も段々と麻痺してしまうようになる。

     

     そんなことの一つに、町中によく見られる「落書き」がある。今に始まった現象ではないので特別に驚かなくなっているものの、最近ビクトリア市内にある公共の建物、指標、バスストップ、ちょっとした路地の塀など等に、得体の知れない落書きが特に多くなったと感じていた。

     

    ビクトリア市内に見られる落書き

     

     これは個人的に私だけ感じるのかと思っていたら、先日当市にあるDowntown Victoria Business Association (DVBA) Clean Teamという組織が、今年は過去最高の落書き率と報告書を発表した。私の思い違いではなかったようだが、現在すでに2018年の10445カ所を上回っている言う。

     

    これはダウンタウンのみの数字で、郊外を入れれば当然ながらその数は計り知れないとか。

     

    意味不明な落書き(ビクトリア市内)

     

    落書きはカビのごとし

     

     ビクトリア市には「落書き消除専門職」が一人フルタイムで働いているそうだが、数が余りにも多く、一つ消除するにも時間もかかりまさにイタチごっこである。

     

     落書きをする人たち(taggerと言う)は、大体はスプレーペイントやマーカーを使用するのだが、落書きの上に落書きを重ねている場合は、有毒化学薬品を使うため環境問題を誘発する。

     

    きれいに描かれたある会社の建物の絵の上に描かれた意味不明な落書き(ビクトリア市内)

     

     またそれによって建物に永久的なダメージを与えることもあり、歴史的な建造物の場合は取り返しがつかない。加えて家主には経済的負担が掛かり、公共の場所では税金が使われるため、この問題は市民にも負担が掛かることになるのだ。

     

     描かれている絵や字とおぼしき物は、殆どの場合一般の人には意味不明で理解しがたいのだが、7月辺りから極右翼の象徴とされるナチスの紋章Swastika(卍)が見られるようになったと言う。

     

     非常に気掛かりな現象だが、DVBAはどの落書きもすぐに消さないと知らぬ間にカビのようにはびこり、手の施しようがなくなると懸念している。

     

     中には落書きはアートだという人もいるが、これは石で窓ガラスを割るのと同じくらい悪質な行為で完全な犯罪だと関係者は言い切る。

     

     こうした悪戯をする人物の多くは、すでに警察も察知しているそうだが、現場を押さえるのが中々難しい。証拠を掴むためには、建物等のオーナーがセキュリティカメラを設置し、摘発に協力して欲しいと呼びかけている。

     

    会社の前にはベンツなどの高級車が停まっている

     

    朱に交われば赤くなる 

     

     人間の心理的行動問題に詳しいデンマークのGroningen 大学のKees Keizer社会心理学教授は、「人は悪い環境にいるとそれに伴って悪行を働くか?」という調査を以前実施した。

     

     ある街で『落書きをしないで欲しい』とサインがあり、実際何処にもそれが見られない自転車置き場の自転車に、何等かの広告チラシをハンドルバーに挟んだ。その場合、殆どの人はチラシを持って帰り33%がその場に捨てたが、周りに落書きのある場所だと69%の人がその場に捨てて立ち去った、との結果を得た。

     

     またもう一つの調査では、封筒に5ユーロ紙幣を入れて人目に付き易い郵便受けに入れて置くと、落書きのない通りでは13%の人がその封筒を盗むが、状況が反対の場合はその数字が倍になるそうだ。

     

     環境と人間の心理との関係が如実に垣間見られて面白いが、こんな状況を言い表した日本語の諺に『朱に交われば赤くなる』と言うのがある。

     つまり人は環境に容易に支配される生き物ということなのだ。

     

     

     

     

     

     

     

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