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寄稿文 カナダ - 日本

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COVID-19 とVictoria市のホームレス問題
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    街中にTent City 再現

     

     コロナ、コロナで夜が明けて、コロナ、コロナで日が暮れる。そんな日々が続くこの4か月ほど。人影の消えた世界の町々の写真を見るのは、もう全く珍しいことではなくなったが、ビクトリアも例外ではない。

     

     そんな静まり返ったダウンタウンの、Vancouver St.Quadra St.の中間のPandora Ave.にあるホームレス互助機関「Our Place」前に、4月初めごろから所狭しと張られたテントが出現した。

     

    ホームレス互助機関「Our Place」の正面玄関 (通常時)

     

     すでに歩道の脇にはポータブルトイレも設置されている。テントは他にもダウンタウンから少し離れたTopaz Park, 海沿いに広がった広大なBeacon Hill Parkにも多々見られる。

     

    ダウンタウンのど真ん中にある「Our Place」前に張られたホームレスのテント

     

    不衛生な環境での生活ため、各種の害虫がはびこる。ペストコントロール会社が視まわりをする

     

     この現象は、通常なら当互助機関や市内に数か所あるホームレス用の宿泊所に泊まる人々が、「2m間隔規制」によってはみ出され、テント生活を余儀なくされているためである。

     

    海岸の流木を集めて造られた海岸沿いの小屋

     

      各テントの中に何人住んでいるかは定かでないが、海岸にも流木を使っての小屋が建てられており、これから増々増えるであろうことは疑う余地はない。仲間内のクラスター問題も大きな心配事だ。

     

     現在彼等が気を揉むことは、住居の確保と同時に、毎日の食事にありつけるかである。「Our Place」で働く800人ものボランティアが、自宅待機になっているため、日に1400食も用意することが可能かどうか。その影響が自分たちに及ばないかが心配なのだ。

     

      しかし極めて少数のレギュラーのスタッフのみで、いまだに食事を提供していると言う。その苦労は並大抵のものではないだろう。

     

     覚えている人も多いだろうが、2016年にダウンタウンのBC州裁判所の裏庭に、ホームレスのTent Cityが出来て大きな問題になった。

     

    BC州裁判所(後ろの建物)の裏地に張られたテント。問題が解決した頃は、この5倍ほどのテントが張られていた

     

     ビクトリア市は試行錯誤の末、大方を低賃金のアパートや古い建物を改造して入居させた。もちろんそれで問題が解決したわけではなかったが、今その跡地はきれいに整備され遊園地に変身した。

     

    現在は整備され遊園地に変身した

     

     私は当時足繁くここに通い、多くの人にインタビューを試みた。

     

     彼らの言い分をすべて信じることは出来なかったのだが、明らかな精神疾患者、薬物の過量投与者、アル中患者、家庭内暴力からの逃避者、学習障害者、失業者等など、それぞれの理由を抱えていることに胸が潰れる思いを何度も味わった。

     

     もちろん彼等の住居を確保することは最重要であるものの、その後のケアが更に大切なことは言を待たないとしみじみ感じたものだ。それは疾患からの快復に加え、自身が生きることに誇りと自信を持つこと。

     

     自分の手で収入を得る道を探り、社会復帰することの大切さを学ぶこと。それなくしてホームレスの問題は絶対に解決をみない。

     

     だが言うは易しで、その道のりが遠い事は誰でも知っている。

     

     特に薬物に一度手を染めると更生に困難を極めることは、度々登場する有名人のニュースでも知られている。

     

     

    イタリアのドラッグ更生施設

        「San Patrignanohttps://www.sanpatrignano.com/

     

      ブーツ型の国イタリアの、中央に位置するフィレンツェ市の北方に、40年の歴史を持つ非営利団体の中毒者更生施設San Patrignanoがある。

     

      主にはヘビードラグユーザーの若者たちを対象にしているが、アルコール中毒、摂食障害、ギャンブル依存症などの問題をかかえている人たちにも援助の手を差し伸べており、世界で一番大きなリハビリ施設の一つとか。常時千数百人程度を収容していると言う。

     

     最近私の身近な人が、当地を訪れ施設を見学したためその印象を聞くことが出来た。

     

     運営は、国連薬物犯罪事務所や欧州治療共同連合会等など、多くの国際組織の協力によって実現可能になっているため、入所費用は皆無と言う。本人は勿論のこと、家族に対するサポートもあり、行き届いた細かいサービスが受けられる。

     

     立ち直りのためのユニークなプログラムに参加しながら、人間として自立し社会復帰を目指すのである。

     

     12の例を挙げれば、美味しいパンを焼く職人を育成したり、施設の広大な敷地に500頭も飼っている牛からチーズを造る職人を育て、それ等が高い評判を得ているため、一般市場への販売ルートの確保もしている。

     

     またセンスがあり手先の器用な人には、将来ファッション界で働けるような道が開けるための手助けもする。

     

     そして何よりも大切なこと‐若者たちに将来の希望を持たせ、生きる道を開かせるのである。

     

     もちろん立ち直りには個人差があるものの、施設を離れることが出来るようになるには、最低3年ほどの月日を要するとか。

     

      家族や周囲の人々との正常な関係が保てるようになることが一番の目的であるが、ドラッグ常習者の更生率は72%と言われており、厳しい現実がある事も確かなようだ。

     

     人としての尊厳を回復することが出来るこんな更生施設が、もしカナダにもあったらどんなに素晴らしいか。数々のテントを見ながらそう思わずにはいられない。 

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

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